2023年度 オンライン全国研修会

当日の様子と感想


今年のオンライン全国研修会のメインテーマは「みんなで創る子どもST」でした。

研修会では、テーマにある「創る」には、会員のみならず、子どもと関わる全ての方がこれまでのことと
現状、現実を受け止め、そして、新しく逞しい一歩となる時間だったのではないかと思います。

シンポジウムのトップバッターは奥住先生による「会員アンケートからみた子どもに関わる言語聴覚士の実態」でした。
とても分かりやすいデータ資料を使った発表でした。
その結果から、現状と課題が明確になったことで、今からできる多職種連携の構築が要となることを
改めて痛感した内容でした。
若干、不安を感じる結果であっても、奥住さんのソフトボイスがカバーし、きっと大丈夫!と希望を抱くことが
出来た方がいたことと思います。

次に、「臨床実習の現場から」と題し、佐藤先生から現場における実習生の受け入れの流れ、
“Z世代”といわれる学生への対応とそのフォローについての発表でした。
実習生が主体的か受動的かによって、対応への配慮が必須となっていることや、
受け入れ側としては通常の業務に加え、多少なりとも負担と感じながらも、
「小児分野のST育成・仲間を増やしていくために」という思いのある佐藤先生の現場から旅立つ実習生は
きっと、将来仲間になってくれる…そのような優しさを感じました。

佐藤先生による「実習生受け入れ側」の発表に続いて、
その反対側に位置する「実習受け入れ先を探しお願いする立場」である、養成校教員、福永先生からの発表でした。
福永先生から特に、コロナの影響があった3年間は実習受け入れ先を探すことの苦労や
臨床実習で検査がなかなかできない現状、及びその間の対応等、「養成校のリアルな現状」を知ると同時に、
学生も学生で大変なのだと痛感。
また、「臨床実習マニュアル」が改訂されたことで、養成校側への負担は相当であろうと想像しました。
質疑応答の質問にも「学生さんが小児領域に興味を持ってもらえるような授業や工夫は?」や、
「養成校に直接、見学可能などのお話をしてもいいか?」など、活発な意見がありました。
今回の発表を受け、会員の皆さまの中から、受け入れ先として手を挙げますよ!と、声が聞こえてくるように感じ、
繋がり先が1か所でも増えることを願っています。

シンポジスト最後は、田尻先生による「小児を目指すSTを育てていく土台づくり」について、
先生ご自身のこれまでと、現在の立場を踏まえて発表していただきました。
行政で働き続けている田尻先生だからこそ、子どもの発達支援に関連する事業が担うことと、
多職種・他機関連携業務の重要かつ必要性について、問題定義も織り交ぜお話してくださいました。
スライドを見てこれほど複雑な「連携」を分かりやすく共有しいただいたことで、
親御さんがよい支援を受けるためにきっと孤軍奮闘しているであろうことを今一度思い出し、
配慮できるSTで在りたいと思いました。

今回、膨大な情報を最初から最後まで熱量を下げずご講演をいただいた公認心理師岩元先生。
先生は保育心理カウンセラーの視点を通して「母子と保育者への支援」について
たくさんの資料と動画を介して休憩をはさむことなく盛りだくさんにお話してくださいました。

相談者様がどの「五感のタイプなのか」を把握し、声掛けを変えることは新しい発見でした。
親御さんへの心理的アプローチは私自身いつも心がけておりますが、言語化できない感情・声にならない思いや悲しみ…
それらを「訊き」寄り添いながら、プロとして線を引き、支えていく岩元先生の姿勢に私はとても感動いたしました。
皆さまからのアンケート結果からも岩元先生へたくさんの感謝の言葉が集まりましたので一部ご紹介させていただきます。

・これから小児の言語聴覚士とも関わっていただければ嬉しいです。

・自己満足に終わっていないか、いつも不安です。本日伺った話をもとに、
 日々の臨床の中で実践し振り返ってみたいと思いました。

・原点に立ち返りながら拝聴させていただきました。
 大切なことを、たくさん思い出させていただきました。また実践に繋げたいと思います。

・お話をお聞きすることで、新しい視点(例えば「VAKテスト」「説得のコミュニケーション」等)を
 得ることができました。いただいた資料を基に、興味のある分野を勉強していこうと思います。

・保護者さんが言われておられた、褒められると視野が広がると言われていたのがとても心に残りました。

・あの映像に全てが凝縮されているように感じます。

・保護者支援が子どもの発達支援のかなめだと思っています。ママさんたちと同じように、
 それでいいんだよと背中を押していただいた気持ちです。

・今、目の前にいるお母さんのやっていることに対して「それでいいんですよ。十分うまくいってますよ」と
 声を掛けられる身近で支える言語聴覚士で在り続けたいと思います。

皆さん一様に岩元先生から「心理的なアプローチ」と「親御さんへのフォロー」への大切さを受け取ったことが感じられます。

最後に、岩元先生が子ども達へ「丸いもの」を介した関わりもとても素敵だと。
確かに!「まるいもの」は某有名なアニメの丸いお顔は自らの顔を分け与え、笑顔と真剣さでみんなを見守り関わっている・・・
そんな風に岩元先生のお話を振り返りつつ、
研修会のラスト、今年も中川代表へ皆さまと一緒に「Happy birthday♪」をお届けできた喜びの余韻も感じながら、
「みんなで創る子どもST」研修会はとても深い学びの時間でした。

長文お読みいただきありがとうございます。 皆さま、どうぞ良いお年をお迎えください。

子どもの発達支援を考えるSTの会 研修委員
 








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